STEP 02 チャンネル設計 — 誰の何を解決するチャンネルか
このレッスンで扱うこと
STEP01で選んだテーマを、1行にまで絞り込みます。この1行は、以降のすべての判断の基準になります。台本の構成で迷ったとき、サムネイルの文言で迷ったとき、戻ってくる場所です。
作業自体は地味で、書くだけなら30分で終わります。ただし飛ばして進むと、10本目あたりで「何のチャンネルなのか」が自分でも説明できなくなります。作っている本人が説明できないものは、視聴者にも伝わりません。
1行で言えないチャンネルは伸びない
目指すのはこの形です。
「◯◯な人が、△△できるようになるチャンネル」
この形で書けるまで絞ります。書けないうちは、まだ設計ができていません。
なぜ1行なのかというと、視聴者があなたのチャンネルを判断する時間が、それくらいしかないからです。並んだサムネイルを見て、チャンネル名を見て、続きを見るかどうかを決める。そのあいだに伝わらないものは、伝わりません。
作る側にとっての効果もあります。1行が決まっていると、思いついた企画に対して「これはこのチャンネルの動画か」を自分で判定できます。迷う時間が減り、投稿のペースが安定します。
「誰の」を決める3つの入り口
1行が書けないときは、たいてい「誰の」が抜けています。「AIの使い方を紹介するチャンネル」では、誰に向けたものか分かりません。次の3つのどれかから入ると決めやすくなります。
- 自分が通ってきた道 — 数年前の自分に向けて話す。いちばん外しにくい入り口です
- 自分がいま調べていること — 調べながら発信する形。詳しくなくても成立します
- 身近な人の困りごと — 実在の相手がいるぶん、内容が具体的になります
3つのうち、続けやすいのは1つめと2つめです。3つめは、その人以外に同じ困りごとを持つ人が十分いるかを確認してから使ってください。
絞りすぎかどうかの判断
絞りすぎを心配する方が多いのですが、実際に絞りすぎになるのは動画のネタが20本分出てこないときです。逆に言えば、20本分の企画が書き出せるなら、絞りすぎではありません。
「事務職の人が、毎日の資料作りを30分短くできるようになるチャンネル」なら、ソフトの操作、テンプレートの作り方、依頼の受け方、確認のもらい方と、いくらでも出てきます。この確認は課題に含めています。
視聴者を1人に絞る
「20〜40代の男女」では広すぎます。年齢、職業、いま困っていること、どんなときにその動画を探すか。ひとりの人物を思い浮かべられるまで具体化してください。
対象を狭めると届く人が減ると思われがちですが、実際は逆になります。狭めるほど「これは自分のことだ」と感じてもらえるからです。広く浅く当てにいった動画は、誰の記憶にも残りません。
具体化するときは、次の4つを埋めるのが早いです。
- いまの状況(仕事、生活、1日に使える時間)
- 困っていること(できるだけ本人の言い方で)
- これまで試して、うまくいかなかったこと
- その動画を探すきっかけ(何があって検索するのか)
4つめが、いちばん見落とされます。人は困っているだけでは動画を探しません。締め切りができた、指摘された、やってみて失敗した——何かが起きた直後に検索します。そのきっかけが分かると、タイトルに使う言葉が決まります。
身近に当てはまる人がいるなら、その人を思い浮かべて構いません。架空の人物を組み立てるより精度が上がります。
競合と同じ相手でいい
同じ視聴者を狙っているチャンネルが既にあると、避けたくなります。避ける必要はありません。むしろ、いる方が需要の証明になります。
変えるのは相手ではなく切り口です。同じ「資料作りを速くしたい事務職の人」に対して、既存のチャンネルが操作の解説をしているなら、こちらは段取りの話をする。網羅的に説明しているなら、こちらは1つだけに絞る。
切り口を決めるときは、STEP01で調べた競合10チャンネルのリストを見返してください。全員が同じことをしているなら、そこは空いていません。誰もやっていない角度が1つ見つかれば十分です。
チャンネル名は後回しでいい
名前で悩んで進まなくなるのが、いちばんもったいない時間の使い方です。仮でつけて、10本投稿してから見直せば十分です。
10本出すころには、どの動画が反応されるかが少し見えています。名前は、その実態に合わせて決めるほうが早く、外しません。
ひとつだけ最初から気をつけてください。あとで扱う範囲を広げられない名前は避けることです。特定のツール名を入れると、そのツールを使わなくなったときにチャンネルごと動けなくなります。
よくある失敗
- 自分がやりたいことを1行にしてしまう — 主語が自分になっていたら書き直しです。主語は視聴者です
- 「役に立つ情報を発信します」で止まる — 誰の何がどうなるのかがありません
- 1行を決めたあと、関係のない企画を出す — 1行は判定に使うためのものです。使わないなら書いた意味がありません
次のレッスンにつながること
ここで書いた1行は、STEP03の台本づくりでそのまま使います。冒頭の2秒で何を言うかは、「誰の何を解決するのか」が決まっていないと選べません。
また、STEP07のサムネイルとタイトルでも、この1行に戻ってきます。クリックされる言葉は、視聴者が使っている言葉のなかにあります。
顔を出さないなら、人間がいる証拠をどこかに置く
このスクールは、顔を出さずに収益化する方法を教えています。実際、講師は顔を出さずに3ヶ月で収益化を達成しています。それは変わりません。
ただし、チャンネルを設計する段階で、決めておいてほしいことが1つあります。
あなたのチャンネルで、人間がやっている証拠は、どこにありますか。
なぜこれを決めるのか
2026年に入ってから、YouTube は「本物ではないコンテンツ」の取り締まりを強めています。1月には16のチャンネルが削除されました。合計で登録者3,500万人、再生47億回という規模です。
削除の理由は AI を使ったことではなく、量産でした。この線引きは STEP03 で詳しく扱います。
気をつけたいのはその後です。3月の二次的な取り締まりでは、受験対策チャンネルや長尺のドキュメンタリーまで収益化が止まりました。共通していたのは、画面に人が映らないことでした。登録者170万人のクリエイターが「自分と同じ内容を顔出しなしで作っている人の大多数が収益化停止を受けている」と証言しています。
ひとつ、はっきりさせておきます。YouTube は「顔を出さないと収益化できない」とは一言も言っていません。これは公式の方針ではなく、当事者の観測と報道による分析です。鵜呑みにしないでください。
ただし、判定する仕組みの側が「人の顔」を人間らしさの手がかりとして使っている可能性はあります。であれば、顔以外の手がかりを自分から用意しておくほうが安全です。
顔の代わりに置けるもの
- 自分の肉声。いちばん強い証拠です。しかも自分の声を使うぶんには、AI 表示も必要ありません(STEP05 で扱います)。合成音声だけで通そうとするより、確実です
- 手と作業画面。実際に操作している画面、書いている手。顔ではないので身元は割れません
- 自分の判断と失敗。台本に入れる洞察(STEP03)が、そのまま人間の証拠になります
- 1本ごとに違う切り口。テンプレートに見えないこと自体が証拠です
設計の段階で1つ選んでおく
4つ全部をやる必要はありません。チャンネル設計シートに、どれを使うかを1つ書いてください。走り出してから足すのは大変ですが、最初に決めておけば毎回の作業に組み込めます。
迷ったら肉声を選んでください。負担がいちばん小さく、効果がいちばん大きい方法です。
ここが差になります
いま世の中で売られている「顔出し不要・完全自動」の手法は、まさにこの取り締まりの対象です。同じ「顔を出さない」でも、人間が消えているチャンネルと、顔だけ映っていないチャンネルはまったく違うものとして扱われます。
後者を作ってください。
課題
課題は3つです。合わせて60分程度を見ておいてください。
1行は、書いたあと一晩おいて読み直してください。翌日の自分が読んで意味を取れないなら、まだ絞れていません。書けたら、その1行で動画の企画が20本出るかを確認します。出ないなら絞りすぎです。
人物像は、上の4項目を埋める形で書きます。埋まらない項目があるなら、その人のことをまだ知らないということです。知っている人に置き換えるか、調べてから埋めてください。
チャンネル名の候補5つは、決めきらなくて構いません。声に出して読めるか、一度聞いて覚えられるか。その2点だけ確認しておいてください。
このレッスンまでが無料公開の範囲です。ここから先は受講生向けの内容になります。
ここまでが、体験クラスの全文です。STEP03以降も、各レッスンの前半は無料で読めます——STEP03 台本の型 から続きをどうぞ。全文を読んで課題を進めるなら有料クラス、自分に合うか確かめたい方は適性診断(20問・3分・無記名)へ。
今回の課題
- チャンネルの説明を1行で書く
- 想定視聴者を1人に絞って人物像を書き出す
- チャンネル名の候補を5つ出す
できあがったものは 成果ギャラリー に投稿すると、講師と受講生からフィードバックがもらえます。
このSTEPには、まだ誰も出していません。最初の1人になると、後から来た人の助けになります。
毎回この4つを書いてください。書式が揃っているほど、返ってくるフィードバックが具体的になります。
- やったこと何を作ったか。1〜2行で足ります
- 迷ったところどこで手が止まったか。ここがいちばん役に立ちます
- 自分の判断なぜそうしたか。選ばなかったほうを、なぜ選ばなかったか
- 次にやること1つだけ
3つめは必ず書いてください。作業の報告だけだと、返せるのは一般論になります。自分の判断を言葉にする練習が、そのまま STEP03 の「独自の洞察」につながります。
