STEP 05 ナレーション — 読ませ方で伝わり方が変わる
このレッスンで扱うこと
台本を音声にします。ここで押さえてほしいのは、合成音声が不自然に聞こえる原因は、声そのものではないという点です。原因のほとんどは、読み方と台本の側にあります。
声の質を上げようとして設定をいじり続けても、たいていは直りません。直る場所が違うからです。このレッスンでは、直る場所から順に扱います。
機械っぽさの正体は「間」
合成音声が不自然に聞こえる原因の多くは、発音ではなく間の取り方です。人は、意味の切れ目で必ず少し止まります。この止まりがないまま流れると、内容は正しくても頭に入ってきません。
止まるべき場所は、おおむね次の3つです。
- 話題が変わるところ(ここは長めに。0.8秒ほど)
- 結論を言う直前(ためると伝わる。0.4秒ほど)
- 列挙のあいだ(1つずつ区切る。0.3秒ほど)
逆に、修飾語と被修飾語のあいだで止まると、極端に不自然になります。「とても/便利な道具です」ではなく「とても便利な/道具です」で切れるように、台本を書き換えてください。
間は、多すぎても間延びします。迷ったら、自分で読んでみて息を吸う場所に入れる、と考えると外しません。
台本の側で調整する
読み上げの設定をいじるより、台本を書き換える方が速く直ります。一文を短くする、句読点を足す、言い回しを変える。これだけで大きく変わります。
効きやすい直し方を、効く順に挙げておきます。
- 一文を50文字以内に収める — これがいちばん効きます
- 「〜であり、〜だが、〜ので」のような接続を切って、文を分ける
- 同じ音が続く箇所を言い換える(「〜することができることが」など)
- 漢字の読みが割れる語は、ひらがなにするか、別の語に置き換える
最後の項目は特に効きます。人名や専門用語で読みを間違えると、そこで視聴者の集中が切れます。読みを指定できるツールなら指定し、できないなら語を変えてください。
読み間違いが起きやすい語
次のような語は、事前に確認しておくと手戻りが減ります。
- 数字の単位(1つ=ひとつ/いちつ、3日=みっか/さんにち)
- 英字の略語(AI、UI、SNS。読ませ方が揺れます)
- 同じ表記で読みが変わる語(今日、一日、人気)
- 固有名詞(サービス名、チャンネル名)
一度作った読みの指定はメモに残してください。次の動画から、確認の時間がなくなります。
読み方は内容に合わせる
解説なら落ち着いて、体験談なら少し速く。全部を同じトーンで読むと、内容が入ってきません。
1本のなかでも変えて構いません。前置きは速く、結論はゆっくり。速度を一定にしないだけで、聞きやすさが変わります。
速度の目安は、解説であれば1分あたり300〜350文字ほどです。これより速いと聞き取りづらく、遅いと間延びします。まずこの範囲で作り、聞き返して調整してください。
音量と音の環境
ナレーションは、映像より先に音量を決めます。あとから合わせるより早く終わります。
- ナレーションを基準の音量にし、BGMはその下に置く
- BGMは、ナレーションが聞こえなくなるなら下げる。迷ったら入れない
- 過去の自分の動画と聞き比べて、音量を揃える
3つめは見落とされがちですが、視聴者にとっては大きな問題です。前の動画から続けて見たときに音量が変わると、それだけで離脱の理由になります。
ここから先は、有料クラスの内容です。
今回の課題
- 同じ台本を3パターンの読み方で出力して比較する
- 間を入れる位置を台本に書き込む
- 聞き返して不自然な箇所を5つ挙げて直す
できあがったものは 成果ギャラリー に投稿すると、講師と受講生からフィードバックがもらえます。
このSTEPには、まだ誰も出していません。最初の1人になると、後から来た人の助けになります。
毎回この4つを書いてください。書式が揃っているほど、返ってくるフィードバックが具体的になります。
- やったこと何を作ったか。1〜2行で足ります
- 迷ったところどこで手が止まったか。ここがいちばん役に立ちます
- 自分の判断なぜそうしたか。選ばなかったほうを、なぜ選ばなかったか
- 次にやること1つだけ
3つめは必ず書いてください。作業の報告だけだと、返せるのは一般論になります。自分の判断を言葉にする練習が、そのまま STEP03 の「独自の洞察」につながります。
